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Baby Model Story
たからもの物語 [15] JC Penny デパート




2003年12月、4歳半のJ。身長約107cm・体重約17kg。



2003年・暮、新聞の全面広告 撮影 JC Penny
 2003年もあとわずかで終わるという、クリスマス前の12月22日、JC Penny というデパートの新聞広告の撮影があった。当初の予定の23日撮影というのが、一日早まって、22日、午前中には衣装合わせで一旦スタジオに呼ばれ、午後1〜3時と、Jの通う音楽教室の発表会を兼ねたクリスマス・パーティがあったので、それに出席。そして3時半から撮影という、ハードスケジュールな一日となった。

 撮影があったスタジオは、カルバー・シティという町にあり、ウチからは近い場所。なので、ウチ→スタジオ(衣装合わせ)→音楽教室→スタジオ(撮影)、というルートも、それほどの距離を走らなくてすんだけれど、それでもやっぱり、一日出かけるワケで、撮影の始まるころ、夕方には、Jだって疲れてたはず。音楽教室のパーティが終わり、スタジオに着いた時には、車の中で熟睡してました。  
 ちょうど、衣装合わせの時に会ったスタッフを駐車場で見かけたので「ウチの子、寝ちゃったんですけど、すぐにスタジオに入らなくちゃ、ダメかしら?」と聞いた。  
 すると「まだ、大人のモデルさんがお化粧中だから、あと10分くらいはいいわよ、寝かせておいても」というコトだったので、スタジオに戻ろうとするそのスタッフに「じゃ、一応、私たちは来ているってコト、中に伝えておいてくれます?」と伝言をお願いして、しばらく車内でJを寝かしておくことにした。なんたって、まだまだ4歳児、疲れてちゃ、良いお仕事もできません。

 そして、Jをしばらく寝かせてから、スタジオヘ。ちょっとメークチェアに座ってお化粧をしてもらい、髪を整えてもらって、衣装を着る。衣装は、午前中にチェックしていたものだけれど、ここに来て、この日Jが着ていた薄いピンクの長そでTシャツを、午前中に合わせた衣装のジャケットの下に着ることになった。
 そして、4時半ごろから、撮影が始まった。今回の撮影は、JC Penny のチャイニーズ・ニューイヤー(翌年の1月中旬)用セールの新聞の全面広告。カラーで、1月16・17・18の3日間、全米の中国系の新聞と、ベトナム系の新聞、各6紙に掲載予定だという。

 今回の撮影は「家族」の設定で、中国人と白人のハーフという、女性(ママ役)、韓国人の男性(パパ役)、中国人の男の子(お兄ちゃん役)と、日本人のJ、娘役という4人がモデルとして出演。で、この4人で、ベトナムの広告、お兄ちゃん役の子を除いた3人で、中国の広告を撮影ということでした。というのは、中国では「4」という数字が縁起が悪いので、広告などには使わず、ベトナムでは、「3」という数字が良くないので、使わないからだそうです。
 撮影も、ベトナム用と、中国用、別々に撮ったので、両方に出るJは、出ずっぱり。「とにかく元気に、" Happy New Year!" って、叫んで!」と言うカメラマン(ディレクター)の言葉に、モデルたちは、何度も、何度も、大声で明るく、元気に「ハッピ〜ニューイヤァ〜〜〜」と叫びます。Jは、特に「ジャンプして!」とか言われて、撮影中の一時間ちょっと、ほどんど休まず、飛び跳ね、叫んでいました。見ているこっちの方が、疲れるほど・・・。

 思いのほか長引く撮影で、お腹が空いてきたJに、私はスタジオ内からスナック菓子などを探してきて、食べさせながら、やっと6時過ぎ、撮影が終わりました。着替えるJを見たら、もう、ジャケットの下のTシャツは、汗でべったりでした。
 「わぁ、汗だくだね。疲れたけど、頑張ったねぇ」と言うと、「うん、だって photo shoot(撮影)だもん」と言う娘に、プロ意識を見ました。J、本当に、お疲れさま。でも、出来上がってきた写真を見たら、同じ写真(3人で写したもの)に、ベトナム版は、お兄ちゃんの写真があとからCGで乗っけたモノでした。何度も、違うバージョンを撮影したのにねぇ・・・。
 それから、この日の撮影で使ったパンツ、かわいいベルトがついていて、それを気に入ったJ、ディレクターさんに「このベルト、カッコよくて、好き!」と言ったら、「じゃ、あげるよ」って、パンツごと、もらっちゃいました。今まで仕事をして、もらったものなんて、生後10ヶ月の時にターゲットの仕事の時、ソックスをもらったきり(*この仕事、衣装がJに合わず、なんと服は自前で出たんです。ソックスだけ、衣装さんが用意したもので)。珍しいコトもあるものだと思っちゃいました。


この日の撮影でもらった、テストショット。後ろの赤い板が、中国の福袋(?)の意味らしい



2004年1月〜8月
 1月中旬は、先の JC Penny の仕事が新聞に載るので、その "広告ゲット" に精を出しました。
 1月16日(金)、近所のマガジン・スタンド、3軒も回って、「中国系の新聞、売ってます? ベトナムの新聞は?」って、広告を探しました。
 でも、私たちが住む地域は、中国系やベトナム系の人が多く住む地域ではなく、中国の新聞、一つだけ見つかったのですが、ベトナムの新聞は、どこにも置いていなくて。どうしよう・・・週末に、リトル・サイゴンと呼ばれる、ベトナム人街まで、行かなくちゃだろうか?(遠いよぉ〜<涙)と思っていたところ、お向かいに住むアメリカ人女性が「道の向こうにある、ネイルサロンに行ってごらんよ。ネイルサロンって、みんなベトナム人がやってるから、きっと新聞、置いてあるよ」と言うので、まったく見も知らない店でしたが、いきなり行って「スミマセン、変なことを聞きますが、ベトナムの新聞って、お宅にあります? あったら、見せてくれません?」と、聞きに行ってきました(お店の人に、変な目で見られたことは、言うまでもありません・・・)。
 すると、その店に、あったではないですか! と、恥もかなぐり捨てて、飛び込んだお店で、ベトナム版もゲット、一安心したものです。(でも、あとから、Hollywood Parents Club 4 Models のメンバーのママが、職場にベトナム人がたくさんいるからと、わざわざもらって、何部も送ってくれたのです。ありがとう、「花ママさん」・)
 でも、いつも思うけど、子供が仕事をするのは嬉しいけど、そのした仕事が掲載されているモノを探すこと、手に入れるのって、大変ですぅ。

 2月に入って、Garnet Hill というブランドのカタログ用オーディションが入った。この日は、私が通訳仕事で、午前中、ウチからは遠い、バレーという場所に出ていて、その仕事先に携帯で「きょうの午後、バレー地区で、Jのオーディションがあります」と連絡が・・・。
 なので、通訳の仕事が終わったら、Jのプレスクールに迎えに行き、さっきまで通訳でいた場所(バレー地区、車で約45分)まで、再び舞い戻りました(ハァ、大変だぁ〜)。
 この Garnet Hill の仕事は、ディズニーと同じプロダクションの制作らしく、スタッフがみんな、知っている顔。カメラマンも「お、Jだね。仕事がしやすいんだよねぇ、キミは!」なんて言ってくれたので、「イケルか?」と思ったのだけど、この仕事、来ませんでした(涙)服のサイズが、合わなかったのかなぁ・・・。

   また、2月には、カリフォルニア・マートという、ダウンタウンにある服飾専門メーカー集合体の、ファッション・ショーのオーディションもありました。私としては、当時は、実は妊娠初期で、体調が思わしくなく、「ファッション・ショーなんて、決まったら、リハーサルとかに通わなくちゃいけないんじゃ・・・?」と、ちょっと気持ちは<後ろ向き>。
 一応連れて行き、Jも、ちゃんと出来たのですが、来ていたのは、みんなJよりも大きい子供ばかりで、身長が足りなかったのでしょうか、この仕事、来ませんでした。でも、書いたように、「リハーサルとかでダウンタウンに通うのは、辛い」私としては、大して気にならず。

 3月には、AFB という、ドッグフードのサプリメント(!?)のプリント仕事のオーディションがありました。なんでも、ペット業界の見本市で使うんだそうで、一般には出回らない、チラシ広告みたいなものらしく・・・。「どうりで、ネットで調べても、出てこなかったはずだ、AFB って」と思う。で、ダメだったけど、別になんとも思いませんでした。

 4〜5月と、しばらくJのオーディションは無く、その間に私は新刊の執筆の精を出し、自分の仕事に没頭。そして6月になった。Jは5歳の誕生日を迎え、プレスクールや、母子教室を卒業。時間の経つのは、早いね。
 このころ、用事でJのエージェンシーに行ったら、妊婦の私を見てJのエージェントが言いました「あら、妊娠しているのね。その赤ちゃんも、産まれたらウチと契約してくれるんでしょ?」だって!
 なので「こちらの事務所にいるモデルの妹・弟って、優先的に登録させるんですか?」と聞いたら、「一応写真は見せてもらうけど、すでに(子供にモデルをさせている)経験のあるママたちだと、こっちが楽なのよね」という返事が返ってきた。
   ま、なるほど、確かにそうだろうなぁ・・・と思う。なので、「じゃ、この赤ちゃんが、よっぽどJと性格が違って、モデルに向いていないタイプじゃなければ、やらせたいので、生まれたら写真、送りますね」と答えておいた。
 多くの親が登録させたいと思っている、西海岸最大手のモデル・エージェンシーである、Jの事務所。お腹の赤ちゃんは、産まれる前から、「ウチに登録してね」と言われるとは、なんてラッキーなベイビィなのでしょう。
 赤ちゃんのことは、まだ産まれるまでわからないけれど、Jみたいに人見知りしないようなら、また新たな「たからもの物語」が始まるかしら?と思ったのでした。

 6月は、Lee jeans のプリント物(Kマートなど、Lee を扱っている量販店舗内のポスター)のオーディションと、Talbots kids のカタログのオーディションがありました。 両方とも、そこそこに良かったと思ったのだけど、どっちもダメ(>。<)
 7月には、Venus Bridal という花嫁衣装ブランドの、カタログのオーディションがきましたが、これは、最初からJには寸法が合わず、「サイズが合わないかもだけど、一応、行ってください」ってものだった。だって、向こうが言ってきた、胸囲とウエストサイズ、Jには、それぞれ2インチ(約5センチ)づつ大きいものだったから、彼女には、着る予定のドレスは、ぶかぶかだったのです。
 あと7月は、ロスアンゼルスの公立図書館のプロモーション・ビデオに出演しました
 これはモデル仕事じゃないのですが、夏休みになって、週に3日はJと一緒に図書館に通っていたら、図書館の「おじいちゃん・おばあちゃんの読み聞かせプログラムのプロモーション・ビデオに出てくれない?」と、スカウト(?)され、もちろんボランティアというか、ギャラなど出ないのですが、ちょうどスケジュールが合ったので、撮影に行ったりしました。10月下旬から、公立図書館や、コミュニティ・センターのようなところで、放映されるそうです(^^)。

 そして8月。
 私はいよいよ臨月で、新刊の出版も間近。自分の仕事や、産まれてくる赤ちゃんの準備で大忙しの中、19日、Carpet One という会社のCMオーディションが入りました。ノン・ユニオンの仕事(放送使用料が入らない=オンエアの度にギャラが出ない)モノでしたが、久しぶりのCMオーディション、いい加減、受かって欲しいものです(^^;)。私の出産予定日は、9月3日だし、その前に出来たら、良いなぁ、なんてね。
 オーディションでは、親は中に入れず、何をしたのかわかりませんでしたが、J曰く、「片足でジャンプしたの。上手くできたよ」とのこと。そうしたら、本当にコールバックがきました!
 コールバックは、8月25日の午前中。エージェントが電話で「出産間近ですよね? この仕事が決まったら、行けますか? パパのスケジュールは、どうですか?」だって。なので「あぁ、大丈夫です。産まれたら主人は一週間、会社は休みを取りますから、私がダメでも、主人が連れていけます」って。
 で、25日の午前中、私はJを連れてハリウッドまでコールバックに行って・・・午後、軽く出血したので、病院に行ったら、そのまま入院。私はこの日の夜、約3300gの元気な男の子を産みました。

 ーーーそして仕事は結局、来なかったんだけど、予定より早い出産騒ぎに、Jの仕事なんて、どうでも良くなってしまってました(笑)あははは。まぁ、無事に出産が済んで、めでたし、めでたし(^。^)    

----つづく----


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